無垢なカウンターに日本酒好きが列をなす、 ほっこりやさしい目黒の新拠点
Y.Kさんのお店に行って
いろいろインタビューしちゃいました!
【編集部 Y.Kさん敬称略】
そうですね。多いだけでなく、常にいろいろなお酒が入れ替わっているのがうちの特徴です。1週間で20本〜30本は入れ替わっていますね。
どういう基準でお酒を選んでいるんですか?
日本酒は季節で偏りやすいから、バランスを大切にしています。
早い酒蔵だと10月くらいから仕込みはじめて11月には新酒を出してきます。
そういった新酒をはじめ、秋にはひやおろし、夏は夏吟醸・・・季節商品とともに、流行のお酒、プレミア酒なんかも合わせて、なるべく幅広く品揃えをしています。
時には、自分たちでも扱ったことのないような珍しい日本酒を入れてみたりもしますね。
それぞれ持ち味も違うわけですね。
はい。新酒の時期は、できたてだから荒々しいお酒が多く、味が落ち着いていなので旨みが強かったり、ボリュームの太いものが多いんです。
逆に、秋のひやおろしの時期は10ヶ月間寝かせてから出荷するから、落ち着いていてまろやかなお酒が多くなりますよね。
季節やブランドによって日本酒はとっても幅があることを知ってほしいんです。
意外と流行のお酒しか知らない人も多いので、日本酒に合う日本酒というのもぜひ知ってもらいたいと思っています。
だから「日本酒バル」と銘打っているんですか?!
それもありますが、「バル」という以上に食にはこだわっています。
日本酒は食中酒だと思っていますから。カウンターで日本酒が飲めるというスタイルも大切にしています。
「日本酒バル」自体は、SEO対策の意味が大きいですね。 笑
それを体験したことのない人に伝える伝道師になりたいです。
なにより、日本酒と魚は相性が良いので、毎日築地から入る魚をメインにしています。それと、新鮮な大山鶏も。
もともと、魚専門店で働いていたので、魚へのこだわりはありましたが、「今日なに食べようか?」と悩んだ時に来て欲しいという思いもあるので、肉や野菜を使った料理にも力を入れています。
本来、辛いものや油っぽいもの、香の強いものなどは日本酒に合いづらいとされていますけど、実はこれらにも合う日本酒ってあるんです。ウマいものにはウマい酒が合う!ってことを知ってもらいたいんですよね。
コレを食べてコレを飲んだらどうなるんだろう?なんて想像してもらえると、より食事が楽しくなりますし。 どんな食事にも対応できる日本酒を置きたいと思っています。
お客さまの反応も良さそうですね?
有り難いことに、予想以上のスタートになっていて、新規の女性客・・・特に20代の女性が1人で来店されるケースも増えてきています。
うちは3階ですので、飲んでいる姿を外から見られることがないというのも安心材料のひとつなのかもしれませんね。
3階だと酔っ払いが階段をのぼって入ってくることもまずありませんし。笑
常連の方も増えてきましたか?
ええ、お陰様で。
週に4・5日の方もいれば、数ヵ月に1回ほどの方まで、ペースは人それぞれですが、今のところ好評をいただけていると思います。
ただ、お客さまは、例えば引っ越しや転職・転勤といった、ちょっとしたきっかけで来られなくなってしまうものですよね。
だから常連の方だけが集まる店にしてしまうとダメなんです。 常連さんは全体の1割くらいになるのが理想ですね。
飲食業というより、接客業、サービス業ですね。
なんと言っても山手線ですよね。山手線は東京で一番便利な街が集まっている路線です。三軒茶屋や下北沢、中目黒も魅力的ですけど、路線としては山手線の方が強いですよね。
利用しやすいし、電車も遅くまであるし、タクシーの便もいい。
あとは、恵比寿の飲食店で働いていたときから、「目黒に日本酒バルのような店がないから欲しい」というようなお客さまの声をたくさん聞いていたのもありますね。
客観的に、お店の魅力ってどんなところだと思いますか?
そうですねぇ・・・料理やお酒のクオリティはもちろんなんですが、サービス力というか・・・総合力というのがうちの一番の魅力であり強みだと思います。
カウンターのお店は飲食店というだけじゃなく、お客さん全体を見渡さなければいけません。単純にご飯を出して終わり、というわけにはいかないんですよね。
料理を出す仕事というより、お客さまを喜ばせる仕事だと思っていますので。だからやる人間しだいで結果や売上は大きく変わります。
そういう志のあるスタッフがしっかり切り盛りして、しっかりお給料をもらってやっていける小さなお店をいっぱい作りたいですね。カウンターのお店はお客さまの反応がすぐに分かるから、初心を忘れずにいられますしね。
これから飲食店で独立を目指す若者がいたら、やはりそうアドバイスしますか?
ですね。そもそも客商売ですから、お客さまが喜ぶことをしている店ならつぶれるはずがありません。自分のエゴだけでやっているお店はいずれ需要がなくなり終わってしまう・・・。
結局は人なので、飲食業というよりは、接客業でありサービス業なんです。そこが一番大事なところですよね。おいしいものを作る技術は努力でなんとかなっても、サービス力は努力だけでは難しいですから。自分自身が喜ばせようと思って接しないと、人を喜ばすことはできませんよね。
ものを作ったり売ったりするだけの商売じゃないんです。人を相手にしている商売なんです。そこを勘違いする人は多いかもしれません。
サラリーマンもサービス業も経験したのが強みです。
ザックリ言うと、美容師からサラリーマンになって飲食業界へという流れです。
美容師はおもしろい仕事で、技術的にもレベルの高いお店で働かせてもらっていました。お客さまも芸能界の方やモデルさんが多くてやりがいもありましたね。
ただ、のめり込むというほどではなかったんです。そこまでハマっていたら、そっちの業界で頑張っていたかもしれません。
サラリーマン時代はアパレル業界にいました。スーツを着て仕事がしたくなったんですよね。笑
それに、将来のことを考えて、きちんと常識を身につけて世の中のことを広く知っておきたいと思ったんです。25〜26歳くらいの時ですね。
とにかく休みなく365日フル稼働で・・・年収は良かったですけど、従業員のケアから社長のあらゆる面でのサポート、新規事業の立ち上げに至るまで何でもやらなければならなかったので大変でした。笑
どのタイミングで飲食店へ気持ちが移ったんでしょう?
サラリーマン時代に、ぼちぼち結婚を意識しはじめていて、1日くらい休日がほしいなぁとか考えはじめていた頃・・・よくご飯を食べに行ってた魚バーのお店があったんです。
当時住んでいた家の向かいにあったんですけど。
そこは、オーナーが脱サラで立ち上げたお店だったんですが、話していると勉強になることがたくさんあって通っていたんです。
そのオーナーに誘われたのが最初のきっかけですね。
魚を調理したこともなかったし、お酒の知識もなかったんですけど。それが28歳の頃。
その代わり給料は1/3くらいになっちゃいました。笑
でも今となっては、サラリーマンもサービス業も両方経験したことがとても自分の強みになっています。
堅実な経営ができているかが、一番のカギだと思います。
どうしても人を見ちゃいますよね。
基本的なことですが、スタッフの教育が行き届いているお店はまず良いお店です。そういうお店でまずいところはないですよね。
サービスが良ければ普通の味のお店でもお客さまは来ます。でも、味が良くてもサービスが悪かったらお客さまの受けは相当悪くなりますからね。
最後に、飲食店経営におけるちょっとしたアドバイスなどあればお聞かせください。
アドバイスになるか分かりませんが・・・自分の場合は、需要の部分を一番重要視しています。
100%成功する可能性なんてありませんし、飲食店はお客様の感情的な要素も入ってくるので分析は難しいですが、70〜80%の成功確率は予測できるはずです。
そこまで細かく経営を考えられるかが大切だと思います。きちんと損益のラインが理解できているか、堅実に経営ができているか。
夢を語るのは良いことですが、料理を作っていればいいってわけじゃないですからね。
僕はとにかく硬く、堅実に積み重ねていきたいと思っています。
そんな感じでしょうか。笑
本日はありがとうございました!
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