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名作映画・ドラマ紹介⑲〈独断と偏見によるオススメ面白DVD・キッズリターン〉

名作映画・ドラマ紹介⑲〈独断と偏見によるオススメ面白DVD・キッズリターン〉

こんにちは!ひとびとのひび編集長っス。
メインサイト「ひとびとのひび」の編集長個人ブログです。

今回ご紹介する作品:
「キッズリターン/監督:北野武」

1996年に公開されたザ・北野映画。
北野監督がバイク事故から復帰した一発目の作品でもある。
北野映画の中でもコレが一番好きという方も多いのでは?

マサルはヤクザの道へ、シンジはボクシングの道へ


超純粋ネイキッド青春グラフィティ。
リアルなんだけどファンタジー。

「映画って本当に良いもんですね」

の名言とともに、にこやかに評論する水野晴郎氏の懐かしい顔が浮かぶほど、
映画って面白いと思わされた作品だ。

何回見ただろう。

テンポ、セリフ、自転車、ボクシング、陸橋、ヤクザ、そして笑い。

うだうだと若者の悩める姿を塗りたくるようなことをせずに、
持てあました時間に紆余曲折する男の子たちのアレコレを
一筆でササッと描いてしまっている


そんな印象だった。

映画なのにどのシーンも絵画のようで、
映像が静止画の枚数の増幅であると強烈に感じさせられる。

主人公となるのは、高校生ながら酒もタバコもやるマサル(金子賢)と、
なぜかマサルに敬語で接する割と真面目っぽいシンジ(安藤政信)


2人の不思議な距離感の関係性が最初から気になるのも本作の特徴のひとつだと思う。

そして彼らがボクシングをはじめる辺りから、
ふたりの時間と行き先にズレが生じはじめる・・・。

先にボクシングをはじめたマサルがヤクザの道へ。
マサルに誘われてはじめたシンジの方がボクシングの道へ


今さら説明の必要もないだろう。
マサルの背中に鮮やかな入れ墨が見えたときがその分岐点だったと思われる。

自転車とボクシング練習の音。故淀川氏が絶賛していたのを思い出す


改めて見ても、
ボクシングの嗜みがありバイオレンスの巧者である
北野監督ならではの映画だと再認識させられる。

特にボクシングの描写は、
ボクシングという競技に対する監督のオマージュのようなものを感じてしまう。

だからいつか、北野監督のボクシングに特化した映画を見てみたいと
望む気持ちも自然とわき起こる。

「サヨナラ・サヨナラ・サヨナラ」

でお馴染みのもう1人の映画評論家・淀川長治氏が、生前、
この映画について語った際、
自転車の使い方とボクシングシーンの音の効果を絶賛していたことを思い出す。

まさに青春の危うさを象徴している、と。
パンパンパンという乾いた音による表現こそ、映画だと。

洋画しか見ていないから邦画の評論はしない、
というスタンスの氏がこの映画は好きで引き受けた、とも。


なるほど、と恐れ入ったが、個人的にはそれプラス、
有無を言わせないヤクザの世界の別次元の恐ろしさと、
わずかな気の緩みで全てが地に落ちるボクシングの世界の別次元の厳しさを、
自然な流れで植え付けている構成がとてもインパクトだった。

そして、最も有名と言ってもいい

「オマエがチャンピオンになって、オレが親分になったら、また会おうや」

のシーンで、なにか重要なテーマと接触したような気にさせられる。

モノクロなオトコの人生をたった一言で着色する鮮やかさ

意外だったのは、クドカンがカツアゲされる役で出ていたこと。
そして、しずちゃんのトレーナーをつとめていた梅津氏も出演していたこと。

全然気づいていなかった。

さらに、ヤクザ役の石橋凌氏、一気にスターとなった安藤政信氏、クズ丸出しのモロ師岡氏、職を転々とする若き役者・・・みな異彩を放っている。

なにより、劇中の音楽と、音楽の挿入のタイミング

こんなものを作り出せる人の頭の中はいったいどうなっているのか。
どんな青春時代を送ってきたのか。

「俺たちもう終わっちゃったのかな?」
「バカヤロウ、まだ始まっちゃいねぇよ」


オトコは、この自問を繰り返し、この自答に救われる。
青春が過ぎても、いくつになっても。

それにしても、なんでこのセリフだけ、シンジはタメ口だったんだろう。
モノクロ映画が、突然ここだけカラーになったような。


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